井上 哲男『相場の潮流』

井上  哲男『相場の潮流』



(重要)潮流269 珍事、ネット証券の筆頭買い越しが語る恐怖


配信日:2017/04/26 08:09


 昨日は典型的な先物主導の相場であったが、先週末のアルゴ3兄弟による「上、下ガッチリ相場」ではなく、兄弟が非常に喜ぶ、他社に“傾き”が見られる相場であったといえる。

 “傾き”を示したのが、日経平均先物におけるSBI証券とTOPIX先物におけるBNPパリバ。

 日経平均先物の手口でSBI証券が1885枚の買い越し、それも“筆頭買い越し”となったことは珍事であり、恐怖を覚える。なぜなら、ヘッジファンドや海外年金といった機関投資家はネット証券を使わないからである。

 プライムブローカーとして、最終的な決済機関であるトラスティ(信託銀行のようなもの)、管理者であるアドミニストレーターと、英文で3社協定(ファンド運用者を含むと4社)を結び、毎日トラスティと連絡を取り合うなどということをネット証券はできない。また、1社定めたプライムブローカーはそれこそ“異様に安い”手数料で先物売買を行ってくれるため、ネット証券を使用する必要はないのである。

 そのSBI証券は、立会い外で1500枚のクロスを振っている。このことの意味は大きい。これは、推測であるが、日経平均先物を売り建てていた者が、損切り(意思による損切り、または、追加証拠金差し入れが間に合わなかったための強制執行損切り)に触れたため、業社がザラ場1500枚をコツコツと買っていき、最後にクロスでその者のそれまで建てていた売り玉の買戻しに充てたのであろう。

 完全な“踏み”(スクイーズ)による損切りだが、例えば、1万8400円で売りを仕込み、昨日、平均1万9000円で手仕舞ったとしたら、その損失は9億円となる。クロスが振られている以上、それは1投資主体であろう。さらに推測するならば、個人投資家の可能性が高い。

 このように、かつて「潮流」に記した“スーパー一寸法師”のような動きがあるとき、アルゴ3兄弟はそれを追い風として、スイスイと相場を泳ぐ。また、裁定取引が出ている際にも、それが裁定の買いであれ、解消であれ同じように“追い風”となる。

 TOPIX先物における傾きの筆頭はBNPパリバの1645枚売り越し。数年前、11月、12月と欧州が大きく現物を買い越し、翌年も強い相場が期待された際に、対内対外証券投資数値(「アサザイ」セミナーで必要なときに資料に載せているが、詳しく調べると国別の日本株式投資金額まで分かる)から、買っていたのが、“最も買って欲しくない国フランス”であったことから、「この現物買いは裁定買いであり、いずれ解消売りが来る」と警鐘をならし、翌年2月後半からそれが出て相場が大崩れしたことがある。

 農業国フランスに投資顧問を置くヘッジファンドはほぼ無い。但し、証券会社(銀行)はある。本国での裁定買いが同国の日本株需給のほぼ全てに近いと私は考えている。

 そのパリバが売り越しということは、先週、同社が買い超枚数を2300枚程度減少させていたことからすると、先週売りポジションを持った投資主体の損切り買戻しか、先物主導の上げ相場における裁定買い(現物買い/先物売り)のどちらかである。

 どちらかは分からないが、日経平均先物における、売り越し筆頭が野村證券の915枚の売りであったことは、(先週末からの「潮流」に記した、裁定業者の最大手グループは国内証券大手社である)裁定買いを同社が行ったことを表していると思われる。

 まとめる。
 昨日は先物主導の相場。SBI証券の損切り買戻し、パリバの損切り買戻しまたは裁定買い、野村證券の裁定買い、そして、これらを“追い風”として相場を泳いだアルゴ3兄弟。
 どこまで行っても、登場人物に機関投資家の名前は出てこない。
「仏大統領選の結果を受けて機関投資家が買い出動」という根拠不明の話も出ているが、現時点でその可能性は低い。

 数字的根拠を示そう。プライムブローカー両巨頭、モルガンスタンレー、ゴールドマン・サックスの昨日の合計の傾きは、日経平均先物:46枚の売り超、TOPIX先物:59枚の売り超。小さい。
 繰り返す。「機関投資家が買い出動」に根拠はない。


井上 哲男『相場の潮流』

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